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   Column

この欄は、僕が折にふれて感じた事や身の周りに起った事を綴ったコラムです。



「深夜奏書」刊行のおしらせ '2014/8/24
ついにこのコラムおよびフェイスブックの書き込みをまとめた初のエッセイ集「深夜奏書」が発売されました。
Amazonのオンライン限定発売で送料込みの1728円です。
是非よろしくお願い致します。

http://www.amazon.co.jp/深夜奏書2014-三木-俊雄/dp/490753423X


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コラム第一回 '2013/2/24
連載小説「靴下」シリーズは、僕の周囲のごく限られた範囲で大変評判が良かったのですが、その頃ちょっと仕事が忙しくなったりして更新が滞っているうちに随分歳月が経ってしまいました。
最近またヒマなので久々に更新してみようかなと思っている時にフェイスブックというのが流行り出して僕も始めました。
これはiPhoneから書き込み出来るので、おもに電車での移動や夜中に目が覚めた時に寝床の中でできます。しかしこのページと違って向こうから見に来た人だけではなく、つながりのある色々な人の目にふれる仕組みなのであまり変なことは書けません。なのでわりとマジメなことを書いています。いま読み返すとナカナカいい事を書いているようです。
ただ、証拠保全のためか何か知りませんが、一度書いたものを編集することが出来ないようです。iPhoneの小さい書き込み窓で書いていると後で読み返してみて随分変だなと思う事があります。
このコラムは過去に僕のフェイスブックに書き込んだ「靴下」的ではないものを、加筆訂正し再掲したものです。


No Name Horses シンガポール公演  '2012.3.15
小曽根真 featuring No Name Horses のシンガポール公演から帰国した。

このバンドでの海外公演は、アメリカ、2回のヨーロッパに続いて4回目。
音響スタッフを含め20人にものぼる大所帯だけに、旅費だけで莫大な予算を消費する、文字通り「ビッグバンド」だ。

しかも現地シンガポールにおいて、小曽根さんを除いてはほとんど無名と言っていいだろう。
当然、小曽根さんのソロ、もしくはトリオの方がプロモーションもやりやすく、実際一昨年はソロ公演をしたそうである。
そしてまたソロでのオファーがあった訳だが、彼は今回このビッグバンドでの公演を強力にプッシュしたという。

私達メンバーにこそ何も言わないが、双方のプロモーターにとってはスポンサーの獲得、スケジューリング、移動、そしてチケットのセールス等、おそらくいろいろな困難を乗り越えてこの公演を実現したはずだ。
とてもフレンドリーで温かく我々に接してくれた彼ら(彼女ら)であるが、内心は不安だったかも知れない。 コンサートのプログラム自体も小曽根真のピアノを大々的にフィーチャーするものではなかった。

しかし、結局彼らは小曽根真を信じ、真さんは我々を信じた。
そして嵐のようなスタンディング・オベーションに包まれてコンサートが終わった時、それが信じるに値するものであり、そしてそれを伝えることが出来たこと、つまりその信じた何かを実現出来た喜びが、彼らの晴れやかな表情に溢れていた。
プロモーターのひとりは「これで全てクリアーになった。明日からバリバリ仕事するので、協力してね!」と。

僕もラージアンサンブルのリーダーを随分長いことやっているが、人を動かすということは結局、心を動かす事なんだと、改めてその思いを噛みしめる次第だ。
有難うございました。^_^



ビジネスのゆくえ '2012/3/31
僕を含めてミュージシャンは基本的に個人事業主である。
しかし、会社組織にしているわけではないし、マネージャーすらいない。
つまり人を使った事が無い。
人を使うと言うのは、もともとは自分では手が回らなくなった分を誰かにやってもらうという事だろう。

鮨屋が板前やお運びさんを雇うのも、親方一人では手が回らないからだ。
それは一つの分業であり、人を使う事によって親方は鮨を握る事に専念出来る。合理的な考え方だ。
そして評判が良く、店が繁盛し従業員も増えてくれば、支店でも出そうということになる。
最初はごく近所に出していたものが、だんだん知らない土地に出すようになる。そのうちハワイなんかにも出すようになる。
これは「俺の握った鮨をハワイの人々に食べさせたい」からなのだろうか?
いや、多分違うだろう。その頃には親方はもう鮨を握ってないかもしれない。

かねてから僕が不思議だったのは、マクドナルドあるいは、ある時から急劇に増えだしたスターバックスコーヒー。
あれは一体、世界に何店舗あるのか知らないが、創業者はどうしてあんなに店を増やしたかったのだろうか?

僕は「美味しいと評判のテキサスの小さなハンバーガーショップは二段重ねのハンバーガーを売り出したところ…」といった牧歌的なものを想像していたのだが、調べてみると、どうやら元々ハンバーガーを売っていたのではないらしい。
マクドナルド兄弟がやっていた「スピードサービスシステム」をレイ・クロックという人がフランチャイズにしたものだそうだ。
つまり、売りたかったのはハンバーガーではなく、仕組み。
スターバックスにしても元々いわゆるコーヒーショップではない。
エスプレッソをテイクアウトするという、「シアトルスタイル」を売っている。

もちろんそういったビジネスを否定するつもりは全くない。ただ、何と言うか、それを上手く想像出来ないのだ。

「目標〜1327店!」というコマーシャルがあったが、(古い…)1000店舗を2000店舗に増やしたい、というのが経営者の自己実現欲求なのだろうか。
大体、何千億という、まぁ、一生掛かっても使いきれないであろう額を、更に倍に増やしたい、と思うものなんだろうか。

何かを作る人間は「自分が本当に良いと思うものを自分の目の届く範囲で」と考えるのが当然と思っていたのだが、結局どうやら彼らの目指しているは最初から自分に代わって稼いでくれる「ビジネスモデル」であるらしい。

いや、勿論それを否定するつもりは全くない。
ただ、彼らの多くは「ビジネスには熱い想いが必要だ」と語る。
その「熱い想い」とは何なんだろう?
彼らの多くが語る「新たなる価値の創出」とは何なんだろう…

僕もついこの間まで、そのような「熱い想い」を聞かされてきた。
しかし、その「ビジネスサイドの想い」と「作り手の想い」には深い溝があり、その2つの根本的な違いをいまだに上手く想像出来ないのだ。



カワイクなくてスミマセン '2012/9/9
昨夜、テレビで「女子によるカワイイキャンプ」というのをやっていた。「カワキャン」だそうである。
各自一人用のテントを組み、食事もそれぞれ自分の分だけを用意、造花や風車、動物の人形などで飾るのが「カワイイ」のだという。
まったくワカリマセン。

まあ、これに限らず、女性がよく口にするところの「カワイイ」というのがイマイチよくわからない。
もちろん僕も一児の父であり、赤ちゃんや小さな動物が可愛いというのはよく分かるつもりだ。
僕にとっておそらくそれは「弱者を無条件に守ろうとする」感情であり、よってその弱者は「巧まざる者」でなければならない。
つまり、「どう?可愛いでしょ?」と自ら主張するモノは「可愛くない」のだ。

しかしながら、世の女性の唱える「カワイイ」とはまさにそれを自ら主張し、また共有される価値観である様に思える。
もちろんそういった価値観に異を唱えるものでは無い。好きでは無いが積極的に嫌っている訳でも無い。つまり、どうでもいい。
しかしその「どうでもいい」ものが一定以上目に付くようになると「ふん、くだらない…」という感情が頭をもたげてくる。

僕にとってしばしば、世の中はこの「どうでもいい」ものによって満たされている様に思える。
これは僕自身の好奇心と遊び心の欠如によるものかもしれないね。
我ながらツマンナイ奴だとも思う。
まあ、彼女達にしたって自分の人生をかけて「カワキャン」に取り組んでいる訳ではないだろう。それは日常のホンのささやかなアクセントなのかも知れない。
そんなことを言えば、僕のやっている音楽を作ったり、演奏したり、教えたりというのしたって、多くの人々にとって「どうでもいい」ものの一つに過ぎないというのに。

しかし、僕の頭の中には常にある言葉、死の前年に語られたジョン・コルトレーンのこの言葉が住み着いている。

「この15年間、私にレジャーは無かった」そして「私は聖者になりたい」

もちろんコルトレーンを引合いに出すのもバカバカしいし、第一僕は聖者になりたいとは思わない。
それでも「あのコルトレーンでさえこう言っているのに自分如きときたら…」という怠惰さに対する自責の念が常に薄っすらと覆っているような気がする。(何?カワキャンだとぉ!)
そしてそれを自分のツマンナサに対する言い訳にしてきたようにも思う。

これからはもっと人の楽しみに対して興味を持つようにしてみようかなと思う。それには僕がもっと楽しみを知らなければ。

と言っても「カワキャン」はご遠慮申し上げますが…








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